FXコラム

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今週の相場観:2016年11月第5週

先週は日本の祝日(勤労感謝の日)と米国の感謝祭があり、金融市場全般に流動性が薄い中ではありましたが、引き続きトランプトレードが継続した週でした。

2016年11月第4週のおさらい

ダウ工業株30種平均、S&P500種、ナスダック総合、
といった主要な米株価指数は法人税の引き下げなどを掲げる新政権への期待感から、そろって過去最高値を更新。

為替市場においても先週来のトレンドが継続し、全般に米ドルが強含む展開でした。特に、ドル円は耐久財の受注統計が強い内容となったことや、11月分のFOMC議事録を受けて12月利上げの確信が高まったことなどを背景に3月以来の113円台まで上昇。一時114円寸前まで買われ、その後113円台の前半まで調整して週末を迎えました。

日銀が10年国債の金利を0%近傍に調整するとみられている一方で、米国債の金利はさらに上昇する可能性もあり、金利差に着目したトレードが優勢となれば、早晩にドル円が115円まで上昇する展開も十分あり得る状況です。年末に向けて徐々に市場参加者が減っていくため、値動きが激しくなりやす展開です。引き続き、ポジション繰りにはご注意ください。

トランプ氏、次期政権の足場固め

さて注目の次期トランプ政権の閣僚人事ですが、司法長官に移民受け入れ反対派のジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)、CIA長官にイラン核合意に反対派でタカ派のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)にはイスラム過激派に対する強硬路線を主張するマイケル・フリン(Michael Flynn)氏、副補佐官にキャスリーン・マクファーランド(K,T, McFarland)氏らがそれぞれ指名されました。いわゆる、「保守・極右的な人事の兆し」と報道されており目が離せない状況です。

また、「美人すぎる娘」として話題のイヴァンカ・トランプさんの夫であるジャレット・クシュナー氏のホワイトハウス入りも噂されており、トランプ劇場はまだまだ続きます。

商業面では、大手自動車メーカーのフォードが自動車工場のメキシコへの移転計画の一部中止を発表しており、米労働市場の保護を掲げるトランプ体制下で起こる企業行動の片鱗が現れていると言えるでしょう。メキシコとの国境に本当に壁ができる日も近いんでしょうか。。。

OPECに動きあり

さて、もう一つの”劇場”石油輸出国機構(OPEC)で動きがありました。30日の総会前の28日に予定されていたOPEC加盟国と非加盟国の協議が中止されたことで、「減算合意に向けた具体案をまとめることが出来ないのでは?」との懸念が高まり、金曜日に原油価格が急落しました。

こればかりは結果が出ないと何とも言えずで、もし減産協議が成功すれば、原油価格の上昇を背景としたインフレ率の上昇が意識され、米国債の金利が一段と上昇。それを受けて、ドル円が上昇することが予想されます。逆に、減算競技が失敗して原油価格が急落となれば、ドル円が下落する可能性も秘めているイベントと言えるでしょう。

金曜日は米国雇用統計

今週金曜日、12/2は今年最後の米雇用統計の発表です。12月利上げは織り込まれていますが、強い内容となれば来年の利上げ回数の予想が引き上げられ一段と米ドル高トレンドが高まる可能性もありますので、水準感だけで米ドルを売るのは注意しましょう!