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今週の相場観:2017年1月第5週

今回は1月第4週の相場のおさらいと、今週のマーケットの動きについて解説していきます。

 

さて、先週はトランプ新政権から発せられるメッセージに一喜一憂しつつ、ドル円、ユーロドル、豪ドルに関しては小動き、その他主要通貨では英ポンドの上昇が目立ちました。

マーケットに影響を与えるトランプ流

週初めよりムニューチン米次期財務長官の「過度に強いドルは短期的にはマイナス」との発言を受けて、114円台半ばから112円台後半まで下落。ユーロドルは1.07前半から1.076台まで上値を伸ばしてしてスタートとなりました。その後は、オバマ政権下で環境への配慮などから建設承認が拒否されていた「キーストーンXL」のパイプラインプロジェクトにつき、トランプ米大統領が再開させる措置を取ったことから、トランスカナダ、バレロ・エナジー、マラソン・ペトロリアムといった関連する企業を中心にエネルギー株が上昇。主要な米株価指数であるダウ工業株30種平均が初めて20000ドルを突破とリスクセンチメントが改善する中、米ドルが買い戻される展開となりました。

結局、ドル円は、115円まで上昇、先週末比で小幅の円安、ユーロドルは1.069台とほぼ前週比と変わらない水準で週末を迎えました。

英最高裁、メイ首相に「待った」をかける

英ポンドは、英最高裁がEU離脱のトリガーとなるリスボン条約50条の発動に議会の承認が必要と判断したことを受けて、離脱まで時間がかかるとの観測や、10-12月期のGDP統計が市場予想を上回ったことを背景に、対米ドルで 1.23台後半から1.255まで上値を伸ばしました。

乱発する大統領令の影響

引き続き注目を集めるトランプ新大統領は、大統領令の発布により、国内外に影響を与えています。上記の「キーストーンXL」パイプラインプロジェクトに関する大統領令の他にも、

 

メキシコ国境の壁を建設するよう指示する命令、
「テロ懸念国」の一般市民の入国禁止措置

 

に関する大統領令に立て続けに署名しており、保護主義・閉鎖的な政策に向けた動きを見せております。

 

メキシコ国境における壁については、メキシコからの輸入品に20%の関税をかけることによって賄うなどと発表しています。これに対してメキシコのペニャニエト大統領は遺憾の意を表明すると共に、訪米中止を検討との報道。週末に向けて、今後壁の建設の費用については公では議論しないとの報道があり、トランプ政権の強硬姿勢がやや和らぐ可能性がある見方からメキシコペソの買戻しが見られました。

 

「テロ懸念国」からの入国禁止措置については、シリコンバレーのテクノロジー業界から懸念の声が高まっています。グーグルのスンダル・ピチャイCEOは100人以上の社員が影響を受けるとコメントしています。FacebookのザッカーバーグCEO、Microsoftのナデラ CEOも揃って米国への移民を支持するコメントを発表しました。

 

移民の流入を制限し続ければ、労働市場の逼迫感が高まり企業にとっては労働コストの上昇、最終的には携帯電話、PCのソフトウェア、自動車の価格上昇といった形で米国内におけるインフレ懸念を招く可能性が高まってきます。そのツケを払うのは結局は米国民ということになるわけで、長期的な視野に立てば米ドルの下落の可能性が高いと言えるでしょう。しかし、短期的には今週予定のFOMCが無風となる中、米株式市場の堅調さ、財政拡大による景気浮揚効果などが目につきやすく米ドル高傾向となるのではないでしょうか。

 

それでは皆様、グッドラック!

 

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