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今週の相場観:2017年4月第2週

みなさん、こんにちは。先週から米軍の動きが活発化しています。週末には、米海軍打撃群が朝鮮半島に向けて派遣されました。

 

為替に対する地政学リスクが高まりつつあり、相場の動きは経済指標を超えた複雑な要因に影響される展開になっています。

 

米軍のシリア空爆でドル下落

前週は、米ドル円で小幅の円高となった他は、市場全般に米ドルが強含んだ一週間でした。

 

米ドル円は、111.40近辺からスタート。月曜日は、ISM製造業指数が前月から若干低下したことや、米自動車販売データの頭打ちを受けてドル円は若干下落。水曜日はADP雇用統計で一旦上昇も2月分のFOMC議事録で株高が警戒されていることが示され、米株の上値が重くなったことから結局ドル円は下落。

 

予想外の展開が起こったのは、金曜日でした。この日に、米軍はシリア空爆を断行、これを受けて、110円台前半までドル円が下落。下押し圧力が強い展開でしたが、110円割れが回避されると徐々に上昇となりました。

 

そして注目の雇用統計ですが、雇用者数変化は、9.8万人増と予想の18万人を下回り、ドル円は再度110.15近辺まで下落します。しかし、「天候によるデータの歪みでは?」との見方や失業率の低下、その後のダドリーNY連銀総裁の「年末から来年初めにかけてバランスシートの縮小を開始する」との発言を受けて、徐々にドルは買い戻され、結局111.10まで上昇、小幅円高で週末を迎えました。

 

ヨーロッパではとくに動きなし

ユーロドルは、フランスの大統領選挙における極右ル・ペン候補の世論調査での支持率に低迷が見られましたが、それほど買われる動きも見られませんでした。ドラギ総裁のハト派的な発言や上記のダドリーNY連銀総裁の発言を受けた米ドル高を受けて、週初の1.065から1.059近辺まで下落しました。ポンドドルやオーストラリアドルも金曜日の雇用統計後の米ドル買戻しの影響を受けて、結局対米ドルで小幅下落という展開となりました。

 

進まない議会運営を尻目に対外強硬策を断行したトランプ政権

さて、オバマケアの代替法案の採決取止め以来、従前より心配されていたトランプ政権の議会運営能力ですが、いきなりシリアへの空爆を始めてしまいました。

 

アサド政権が化学兵器を使用したとの理由ですが、アサド政権を支援しつつISなどのテロ撲滅を目指すとするロシアからは、米空爆はテロ行為との批判。「化学兵器の使用がアサド政権によるものとの明確な証拠はない」、との説もあり、2013年の米国によるイラク侵攻と重ねる報道もあります。「イラクのフセイン政権が大量の破壊兵器を保有している」との理由での侵攻でしたが、結局、大量破壊兵器は発見されませんでした。勇み足にならなければ良いのですが……

 

発足当初、トランプ政権は親ロシアという印象でしたが、それを払拭するためか、随分早急な動きをしているように見えます。国内の政策が上手く運ばないときは外敵を作るべし、との政治戦略にも見えます。いずれにせよ、減税政策などの重要審議が遅れて米株市場が大きく調整するような展開にならない事を祈ります。

 

そうなればドル円100円トライの展開も想定しなければなりませんね。何にせよ、化学兵器による悲劇が繰り返されないようにして欲しいというのが人々の願いではないでしょうか。無難に終わった米中首脳会談がかすむシリア侵攻。今後とも政治ヘッドラインなどで落ち着かない相場となるかもしれませんので、ポジションの取り過ぎに注意ですね!では皆様グッドラック!

 

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