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今週の相場観:2017年4月第3週

こんにちは。週末は北朝鮮問題で非常に緊張感が高まっていましたが、結局一大事にはならず、今週を迎えました。シリア情勢、北朝鮮情勢など地政学リスクで相場が動きそうな感じです。

 

さて、それでは前週の相場のおさらいから始めてみましょう!

 

リスクオフとなった前週

前週は、復活祭の休暇を控えて閑散となるなか、市場全般で米ドルが弱めに推移となりました。

 

米ドル円に関しては、111.10近辺からスタート。シリア、北朝鮮を巡る地政学リスクの悪化が懸念される中、株式市場の上値が重い展開が継続しました。特に11日、北朝鮮が国営メディアを通して、米国による先制攻撃の兆しがあれば米国に対して核攻撃を実施すると警告。為替市場でもいわゆるリスクオ回避の円買いが優勢となり、ドル円は110円を割込み、109.62まで下落しました。

 

12日には、トランプ大統領の米紙ウォールストリートジャーナルとのインタビューが相場を揺らしました。同紙とのインタビューでは、「米ドル高が強くなり過ぎている、ドル高はいずれ米経済に打撃を与える」との考えを示したことから、「イエレン総裁の再選、低金利政策の長期化を指示するのでは?」との思惑から再度下落し108円台へ突入しました。その後も復活祭の休暇を控えて、市場全般にリスク回避の方向が鮮明となり、結局は108.6台まで下落して週末を迎えました。

 

ユーロドルは、1.059近辺からスタート。方向感に欠ける鈍い動きを見せていましたが、水曜日に上記のトランプ大統領のドル高牽制発言を受けて1.066まで上昇しました。その後は、仏大統領選挙において急進左派のメランション氏がこのところの世論調査で追い上げを見せており、極右ル・ペン候補と共に決選投票に進むのではとの見方も出てきていることが重石となり、結局は1.061まで下落。前週末比で小幅の上昇に留まりました。

 

ポンドドルもドル高牽制発言を主要因に上昇。1.236台から1.252台まで値を付けました。豪ドルは、雇用統計が強い内容となったことや市場全般の米ドル安傾向を受けて、0.749台から0.757台まで上昇となりました。

 

今週も地政学リスクに注意

さて、米国では主要企業の決算シーズンとなっています。JPモルガンなどの主要行の1-3月期決算は、債券トレーディングなどのマーケット関連部門や債券発行などの引き受け業務を行う投資銀行部門の好調に支えられ良好な結果となっています。ダイモンCEOは「米国の消費者と企業の状況は総じて健全、国内経済は引き続き改善する」との見通しを示しました。

 

しかし、そんな好調な決算も地政学リスクの高まりの前では株式市場を押し上げるには不十分……。ティラーソン国務長官、トランプ大統領共に「北朝鮮に対して手段を選ばない」と通告して、今回のシリア空軍基地への空爆は北朝鮮、中国に対する強い脅しと言えます。またこの行動に関して米国内で「トランプ大統領がやっと大統領らしい決断を下した」との見方が大勢を占めており、今後行動がエスカレートするリスクは高いように見えます。

 

週末には北朝鮮が米国へ挑発の一環として、弾道ミサイルを発射、失敗して爆発と、の報道も聞こえています。引き続き地政学リスクが相場の重石となる展開を想定した方が良いでしょう。どんどんきな臭い相場になってきました。世界各地で紛争の火種がくすぶっていることから、思わぬ円高が進むリスクもありますので、ポジション繰りには本当に注意です。それでは皆様、グッドラック!