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今週の相場観:2018年5月第1週

前週は、ユーロや円などの主要通貨をはじめとしてほぼ全ての通貨に対して米ドル高が進行しました。

 

まずドル円ですが、107.65近辺でスタート後から、週末の北朝鮮の非核化報道を受けてじり高の展開。株式市場が堅調に推移するのと歩調を合わせて米10年国債の金利が節目となる3%を目指す中、上値を伸ばしました。

 

強さを見せたドル円

月曜日には2月以来の108円をつけると一気にストップをつけ108.7まで到達。火曜日には上記米国債が3%をタッチする中、109.20まで上昇しました。

 

その後、金利高が株価にネガティブとの見方から株式市場が一旦調整したため、ドル円も108.6近辺まで一気に下落と落ち着かない展開に。

 

しかし一旦サポートされると、世界的な株式市場の堅調、金曜日日銀会合での金融緩和継続スタンス、南北会談で北朝鮮の非核化報道などが買い材料となり、09.5まで上値を伸ばしました。

 

そこからは週末に向けて利益確定の売りが見られ、109.05で引けました。

 

ユーロ・ドルは1.2290近辺でスタート後、週を通じて軟調な展開でした。週明けから米国債金利の上昇とドル高が意識される中、火曜日には1.220を下方にブレイク。

 

一旦1.2250近辺まで持ち直すも、木曜日のECB会合でユーロ圏の経済指標が足元やや軟調となっていることにドラギ総裁が触れたことなどから、1.2100まで下落となりました。

 

その後もテクニカルにユーロロングが溜まっていたことも手伝い、ロング解消の売りで1.2050まで下値を試しした後、1.2130まで買い戻されて週末を迎えました。

 

ポンド・ドルも1.400近辺でスタート後、一貫して軟調な展開でした。火曜日にユーロと共に下落し、1.3900をワンタッチした後は1.400まで回復する場面もありましたが、金曜日に発表された1-3月期のGDPが弱い内容となったことから、一段と利上げ開始が遠のくとの見方が優勢となり1.3750まで下落。多少の買い戻しが見られ1.3780近辺で引けました。

 

オーストラリア・ドルも0.766でスタート後、市場全般の米ドル高に押されて上値の重い展開でした。CPI(消費者物価統計)がほぼ市場予想通りの結果となり材料視されなかったことも手伝い、米ドル高トレンド受ける形でじりじり売られ0.7580で週末を迎えました。 ニュージーランド・ドルも他通貨同様に0.7207から0.7085と下落と奮いませんでした。

 

地政学リスクはこのまま解消されるのか!?

さて、北朝鮮の非核化報道を受けて地政学リスクの後退が意識される中、世界的に株式市場が良好なパフォーマンスを上げております。

 

米国債金利の上昇が行き過ぎなければこのままリスクオン継続、米金利高に伴う米ドル買いシナリオをしばし市場は試したいようにも見えます。ドル円やユーロ・ドルなどの主要通貨で節目のレベルをブレイクする展開となっており、テクニカル勢も総じてドル買方向でどこまで攻められるか?というところでしょう。

 

ドル円は特に110円をブレイクするか否かに注目です。

 

Sell in May」の格言にもありますように、株式市場はなぜか5月に売られやすいというアノマリーがあります。大体年初から株式などのリスク資産に資金配分がなされ、ある程度利益がのり、いい材料が出尽くしたかなといった感覚や、年後半に入る前に一旦利益確定といった動きが出やすいことが作用しているように思われます。

 

株価の上値が重くなれば当然にドル円の上値が重くなることも連想されますので、110円ブレイクに失敗した時は、日本がゴールデンウイークの最中に一気に円高になる可能性も頭の片隅に入れておきたいところです。とはいえ、ISMや米雇用統計といった主要統計が強ければ素直に米ドル買の動きになりそうですので、統計により注目が無難と思われます。

 

株式市場では、また米国で大型買収が成立しそうです。ドイツテレコム率いるT-Mobileがソフトバンク率いるSprintを買収するとの報道が出ています。オバマ政権下では大型テレコム企業の買収は消費者に不利との論理でブロックされていたと想像されますが、トランプ政権は基本的には規制緩和方面の結論を下すことが多いので、この買収も成立する可能性が高いとの見方が強いようです。

 

M&Aが活況となれば、株式市場が息の長い上昇を続けると言えますので、引き続きこの手の話は、株高、リスクオン、ドル高シナリオをサポートする要因かなと注目しています。今週はテクニカルも手伝って素直なドル高トレンドが継続する方に賭けてみたい週ですね。

 

それでは、皆様今週もグッドラック!