前週は、日米英での金融政策決定会合、米国の雇用統計等の重要統計発表と経済イベントが目白押しの週で、結果としては米ドルに軍配！という形でした。
まずはドル円ですが、「日銀が何らかの政策変更をするのでは」、との思惑から円高進行への警戒感が漂っていました。そんな中、111円近辺からスタートし膠着状態のまま、火曜日の日銀の政策決定を迎えます。
日銀の政策発表を受け市場は円売りへ
注目の日銀金融政策会合の結果ですが、「10年国債の金利をおおむねゼロ近辺で維持」との方針に変化はありませんでしたが、値動きの幅を0.1％から0.2％程度を許容するといった微調整を発表しました。
今まで0.1％までしか上がらなかった10年国債の金利が0.2％まで上がるということなので利上げとも取れますが、日銀は大規模な緩和政策の維持を強調したため、市場は円売りで反応し、その日のNY引けには112円手前まで上昇。水曜には112.15まで上値を伸ばしました。
しかし、そこからは米国の材料へ目が移り、1日のISM製造業指数が予想を下回ったことで米ドルは下落開始111円台へ。また、FOMCでは予想通りに金利据え置き、米国の景気判断については「力強い」と上方修正しましたが、おおむね予想通りの結果で、ドル円を持ちあげるには至らずといった内容でした。
注目の米雇用統計は、雇用者数が15.7万増と予想の19.3万人を下回りましたが、失業率は3.9％と引き続き低く推移。ただ、この局面で重要視されている平均時給の伸び率が予想範囲内の前月比0.3％にとどまったことで、「FOMCが利上げを急ぐ」という期待が剥落し、ドル円は下落で反応。111.20近辺と小幅の上昇で週末を迎えました。
クロス円に左右され下落した他国通貨
ユーロ・ドルは、ユーロ圏発の材料がない中、クロス円の動きに左右される展開でした。1.1660近辺でスタート後、月曜日からクロス円の上昇にけん引され、月曜には1.1700を超え。日銀会合後にはさらに1.1750近辺まで上昇しました。
しかし、そこからは失速。。。堅調を維持する米株式市場と利上げ継続方針の米ドル買となり1.170をあっさり割り込むと、木曜日には英中銀のハト派声明を受けたポンド売りの影響も受けて、1.1600を下回る水準まで売られました。テクニカルにも下値を追いやすいチャートとなり、結局1.15700近辺まで下げての金曜クローズに。
ポンド・ドルは、1.3100でスタートし、木曜日の英中銀会合まで狭いレンジで小動き。上値も1.317までと動意が出ませんでした。
木曜日の注目の会合では、政策金利を0.50％から0.75％へと引き上げましたが、その後の利上げペースについて、「非常にゆっくりとしたプロセス」とのハト派発言を受けて下落開始。結局、1.3000まで下落して引けました。落とされて引け、行って来いの相場でした。
オーストラリア・ドルは、今週も横這いで推移。0.7400近辺からスタート後、0.744まで上昇を見せるも、特に上値を追う材料もなく失速し、0.7400とほぼ横ばいで引けました。
しばらくは円安傾向が継続か
さて、久しぶりに動いた日銀ですが、10年国債の金利の上限を0.1％から0.2％程度へ許容する一方で、「緩和は維持」、と何とも解釈の難しい調整となりました。これはやはり、昨今ニュースを騒がしている地銀に対する救済という意味合いが強いのかもしれません。
大規模緩和の副作用として、10年国債が0.1％、5年債はマイナスと地方銀行の利益圧迫に歯止めがかからない状況が継続していました。また貸し付けの伸びない中、購入を伸ばしていた頼みの米国債もトランプ政権発足から金利が上昇し、債券価格が下落、多額の含み損を抱える状況となっていることも最近報じられています。
結果としてスルガ銀行の不正融資などを招いているわけで、金融システムが健全でないと判断したのではないでしょうか。
大っぴらに緩和辞めますと言えませんので、「何とか10年国債の利回りを上げて銀行の利ザヤを改善させたい」との苦肉の策だったのではないでしょうか。
今後も様子を見ながら、微調整を行うと思われますが、インフレ率の見通しは引き下げられていますので、まだ本格的な調整は困難、円安に流れやすい時期が続くと予想されます。
さて、ユーロ・ドルも下値を更新するようなチャートの形になってきました。米株式市場は崩れそうで崩れず、政策金利は淡々と上昇との方向感が維持される間は米ドル高に素直にかける方がよいかなとは思いますが。。。
いかんせん夏休み相場は本当に予期せぬ方向に動きがちなので、くれぐれも注意しましょう！！それでは今週はこの辺で！皆様、今週もグッドラック！
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