先週は、米中貿易協議を巡る両国の対立が先鋭化する中で、市場全般に米ドル高となりました。
通常リスク回避相場ではクロス円、ドル円の下落が見られがちですが、ドル円は週末に向けて徐々に落ち着きを取り戻しています。
回復した株式市場が後押しとなったようです。
米中協議の展開で上下したドル円
ドル円ですが、週末にトランプ米大統領が全ての中国からの輸入品に対する関税を検討と発表したため、前週の引け109.90近くから109.80台と小幅に窓を開けてスタート。
その後もじり安となるなか今後は中国から報復関税の報道が流れると株価の下落と共にドル円も再び下値を模索する展開となり、109円を手前まで下落しました。
その後、ムニューチン米財務長官から「米中の通商協議は継続。訪中の時期を調整中」という報道や、トランプ米大統領から「中国との協議は成功すると思う。3，4週間後に結果は分かる」といったヘッドラインが流れると、株と為替が反転！
火曜日には一時109.80まで反動、水曜日は米小売り指標が弱く一旦、109.10台まで下落と落ち着かない展開が継続しました。
週末に向けてやや貿易戦争に関する報道が収まってきたことや、トランプ大統領が「対日本、EUの自動車関税措置を少なくとも180日延期」と発言したことで株価の落ち着きと共にドル円も上昇し、110.10近くと小幅の上昇で週末を迎えました。
EU離脱に進展なく下落した欧州通貨
ユーロ・ドルは、窓を空けずに1.1230近くからスタート。
ユーロ円の売りに頭を押さえられつつも月曜日は米国債金利の低下を受けて1.1260越まで上昇しました。
しかし、その後はダラダラと下落基調。。。米中協議を巡る不透明感や英国でBrexitを巡る協議に全く進展が見られないことによるポンド安につれて下値を切り下げ、結局1.1160まで下落して引けました。
ポンド・ドルは、1.3000丁度近くでスタートしました。
週を通じてBrexitを巡る協議に全く進展が見られず、メイ首相の退陣日程、労働党との協議が破断など良いところなく売られ続け、結局1.2720台まで大幅な下落に。。。
オーストラリア・ドルは、米中貿易協議が困難を極める中、0.700近くでほぼ窓を空けずにオープンしましたが終始売られる展開。
結局良いところなく売られ続け0.6870近くまで大幅に下落して引けました。
米中協議の影響を最も受けやすい通貨だけに今後もニュースを受けて一喜一憂の値動きとなりそうです。
米国内消費の鈍化で景気減速に向かう可能性
さて、お互い関税引き上げ発動を宣言し、全く終息の兆しを見せない米中貿易協議ですが、米トランプ大統領は、中国の大手通信会社ファーウェイとの取引を実質禁止する措置を発令し事態は深刻化の一途をたどっています。
スマホ向けの半導体を提供しているクアルコム、インテルといった大手米企業にも影響は必至であり、また携帯価格の上昇を通じて米国のインフレ率を押し上げる効果もあるかもしれません。
そうすると、給与の伸びがインフレ率を下回り米国消費者の需要が鈍化することによる景気減速が本格化してくる可能性が高まります。
現在のところ、米国労働市場は堅調であることに間違いはないのですが、先行きの不安感は徐々に高まってくるものと思われます。
やや先の長い話ではありますが、最終的にはFRBにより利下げが実施される事態に陥るかもしれません。
欧州議会選挙や株式市場の動向が鍵か
今週は欧州議会選挙があります。
欧州懐疑派が票を集め議席を伸ばせば、一段のユーロ安に振れる可能性もあるので要チェックです！
また英国の政治が相変わらず進展がありません。どこまで売られるのか注視ですね。
10月末が最終期限なのでそれまでは、ダラダラと進展が出ない可能性が高いかなと思いますので暫くは放置でしょうか。
さて、米中摩擦に進展がない中ですが、今週の株価がどのように動くかがドル円、クロス円の動向にとって非常に重要と思われます。
冷静に見れば世界経済にとって良い合意はしばらくなく株安なのでしょうけど、昨年末に投資家の株式ポジションが軽くなっており、「押し目があれば買いたい」との需給動向も予想されます。
そのため、株価が意外と持ちこたえる可能性もそれなりにあるのでは！？
結局は、その日、その日のニュースで変わるセンチメントに上手く乗っていくしかないという感じになりそうで、難しい局面が続きそうです。。。
不条理な値動きも多くなってくると思いますので、無理せず軽めのポジション繰りで臨むイメージでしょうか。
大怪我はしたくないですね。。
それでは皆様、今週もグッドラック！！
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