EUサミットで延長の末、欧州復興基金の枠組み合意にこぎつけたことでユーロの上昇が顕著でした。
コロナワクチンを巡る報道もおおむね開発進展を示唆する報道が多くポジティブなトーンへ。
結果、ユーロ円を始めとしてクロス円の上昇が見られました。
しかし、22日に米政府がテキサス州ヒューストンの中国総領事館閉鎖を命令、24日に中国も四川省成都の米総領事感閉鎖を発表。。
市場はややリスクオフに傾きドル円、クロス円に売り圧力が強まる局面に転じました。
大きな流れとしては、米国の金融・財政緩和期待を背景に米ドル安が進んだ週でした。
米中関係の急速悪化に下落したドル円
ドル円ですが、107.10近くと小幅に上に窓をあけてスタート。
月曜日はEUサミットの交渉延長されており、「何らかの合意が形成されるのでは」との期待感から収容通貨に買いが。
ユーロ円などのクロス円主導でドル円も一時107.50越まで買われました。
しかし勢いは長続きせず、米財政追加緩和への期待から米ドル安に反転。
ドル円もじりじりと下げはじめ火曜日に107円割れ、水曜日は一旦107.30まで戻しましたが、米政府のヒューストン中国総領事館の閉鎖命令から米中関係悪化が懸念に。
木曜日は再び106円台に下落しました。
金曜日、「中国四川省成都の米総領事館の閉鎖」などの報復報道を受けて更に売り圧力が強まり節目の106円割れ。
一時はなんと、105.60台まで下落!
落ち着きを取り戻して買い戻しが入り106.10台で一週間の取引を終えました。
復興基金と米ドル売りに大幅上昇した欧州通貨
ユーロ・ドルは、1.1410台からスタート。
EUサミットで協議延長、欧州復興基金の合意に向けた動きが好感されて1.1460台まで上昇。
合意が発表されると一旦出尽くし1.1400台まで売られました。
その後は総じて復興基金の創設を好感したユーロ買いと、米財政拡大への期待を背景とした米ドル売りが優勢となります。
火曜日1.1540台、水曜日1.1600到達を達成。
週末に向けて更に上値を伸ばし木曜日1.1630手前、金曜日には1.1650台まで上昇してそのまま高値圏で週末を迎えました。
ポンド・ドルは、1.2560近くからスタート。
東京時間では売られて始まりましたが、欧州時間に英首相報道官から「EUと将来の関係を巡る主要問題について建設的な話し合いを続ける」との報道もあり1.2650まで上昇。
その後も強く推移したユーロにつられて買われます。
火曜日には1.2770台まで上昇しました。
一旦利食いもあり1.2650まで下げましたが、その後も米ドル安とユーロ買いの流れからポンドも引き続き買いが優勢に。
結局、1.2800と高値圏のまま週末を迎えました。
オーストラリア・ドルは、0.6980台からスタート。
週前半は欧州復興基金の合意、コロナワクチンを巡るポジティブな報道でクロス円が強く推移したことで上昇基調。
月曜日に0.70台を回復、火曜日は0.7150近く、水曜日には0.7180と大きく上値を伸ばしました。
しかし、米中の総領事館の閉鎖を巡る緊張の高まりを受けて木曜日以降は下落へ。
木曜日に0.7100割れ、金曜日には一時0.7060まで売られましたが、米ドル安の流れから買い戻されて0.7100を回復して週末を迎えました。
米ドルにネガティブ要素がやや多いか
さて、米企業決算発表シーズンとなってきました。
4-6月期の米企業の決算は概ね市場予想を上回る結果となっていますが、コロナの影響で市場予想のハードルも低くなっていることから株価の反応はどちらかというと利食い売りに押されている感じです。
個別ではインテルが次世代チップの導入計画遅延から大きく下げたぐらいでしょうか。
コロナに関しては感染者数に歯止めがかからない状況が続いていますが、ワクチンを巡る報道はポジティブなものが多く聞かれており一進一退ですね。
その中で、米大統領選を前に再び米中の対立、舌戦が激化しています。
お互いの主要都市の総領事館を閉鎖などのパフォーマンスも見えてきておりクロス円や豪ドルにはややネガティブな作用があるかもで注意でしょうか。
それよりも米ドル安が大きく進んできたことがトレンド的には重要だと思います。
ユーロ・ドルの上抜け、ドル円でも節目となっていた106円を下回る場面が出てくるなど、米ドル売りが加速中。
長期に渡る低金利政策の継続、大統領選を前にした追加財政政策への期待という見方がされています。
今週のFOMCで低金利政策の継続をはっきり確認するコメントなどが出てくればユーロ・ドル売りが一段加速する可能性もありますので、注目です。
基本的にはユーロ・ドル、ドル円でドル売り目線でポジションを組み立てていきたいと思います。
激しく動きやすいので慎重にではありますが。
それでは皆様今週もグッドラック!
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