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今週の相場観:2020年8月第5週

為替市場は、ジャクソンホールでのパウエル議長の発言を受けて値動きが双方向に荒い展開となりました。

 

しかし、翌日には「米国での緩和政策の長期化姿勢が示された」との解釈が広がり米ドル売りが優勢に。

 

安倍首相の退陣報道が流れると、金曜日に大幅に円高となったことで円も堅調に推移しました。

 

ジャクソンホール会議を受け下落したドル円

ドル円は105.90近くからスタート。

 

月曜日は静かに横這いで推移、火曜日は前日から進んでいた米国債金利の上昇や好調な株式市場に支えられたクロス円の買いも手伝い、106.50越えまで上昇しました。

 

水曜日は翌日のジャクソンホールを控えたポジション調整か、106円近辺まで売り戻されて小幅に推移したまま木曜日のイベントへ。

 

注目のパウエル議長の講演では、Average Inflation Target(平均インフレ目標)の枠組みの導入が注目を集めました。

目先はインフレ率が目標の2%を超えても容認して緩和政策を長期化することも示唆。

 

この発表直後は緩和長期化の見方から、米ドル売りとなり105.60台まで下落しました。

その後米国債金利が上昇を始めると、逆に買い戻し優勢となり106.70台まで大幅反転!

 

翌日も上昇基調は継続し107円手前まで上昇しましたが、ここで安倍首相の退陣観測、退陣発表で円高が加速。

また前日のジャクソンホールの内容が、改めて米緩和政策の長期化と米ドル売りと解釈されたことで、一段売り足が強まり105.30台と安値圏で引けました。

 

大きな材料なく米ドル主導で上下した欧州通貨

ユーロドルは、1.1790からスタート。

週前半は堅調な株式市場を受けたクロス円の買いと、米国債金利の上昇を受けた米ドル買いの動きが相殺して1.1770と1.1850のレンジ内を上下して方向感が出ません。

 

木曜日のジャクソンホールで発表直後の米ドル売りで1.1900まで上昇しますが、米ドル買戻しが始まると1.1760台まで下げと荒い値動き。

一晩明けた金曜、「(ジャクソンホールは)米緩和の長期化が意図される講演だった」との解釈で再び米ドル売りへ。

結局1.1900越まで上昇して引けました。

 

ポンドドルは、1.3090近くからスタート。

英国発の大きな材料はないものの堅調な株式市場を受けたクロス円の買いが終始支えとなり火曜日に1.3150越え、水曜も1.3200越えと順調に上昇しました。

 

ジャクソンホールのイベントでは発表直後1.3280台まで上昇した後に1.3160台まで下落とユーロ・ドルと同じような動きでした。

金曜日には全般に米ドル売りとなる中、1.3340台まで大幅に買い戻されてクローズ。

 

オーストラリアドルは、0.7160台からスタート。

米中対立は意識されつつも、株式市場が全般に良好に推移していたことや、米国から「第一次合意については両国で履行状況に前進が見られる」との発表もあり、クロス円の買い主導で上昇しました。

 

月曜、火曜に0.7200を狙うと、水曜日には0.7240台まで上値更新。

ジャクソンホールでは発表直後の0.7290まで上昇後、0.7220まで売られる荒い動きでした。

 

ただ金曜日は他の通貨同様に買い戻されて0.7360台まで大幅に上昇して週末を迎えます。

 

9月のFOMCが鍵を握る

ついに夏休みも終盤。各市場も年末に向けて最後の盛り上がりを見せる局面です。

 

コロナワクチン開発関連の報道で米株市場が連日高値を更新しております。

さらに、安倍首相の退陣もあり、前週の金曜日はドル円が大幅に下落した影響でクロス円の伸びもイマイチでした。

 

今後も株式市場が堅調を維持すると、米金融政策の緩和長期化がドル円下落要因ながらも、クロス円の買いがドル円をサポートする展開が考えられます。

こうなると、なかなか方向感が掴みにくい状況となりそうです。

 

9月のFOMC声明文などで米金融政策の緩和長期化が鮮明に打ち出されれば、対ユーロやポンドで大きく米ドル安が進む可能性もあります。

9月16日深夜のFOMCは非常に注目です。

眠れない日々が続きますね。。

 

安倍首相の退陣のよる金融政策への影響は限定的との見方が優勢です。

次期首相候補と噂されている、石破氏、河野氏、菅氏、岸田氏ともに今までに明確な金融政策を言及したことはありません。

誰が首相となっても基本的に安倍路線、日銀は非常に緩和的な金融政策を継続の可能性が高いと考えて問題なさそうです。

 

ドル円への影響としては、緩和余地は小さいながらも大きくドル円が値を崩すような局面では、何らかの措置が期待できるのでは。

クロス円に対しては、買いが下値をサポートしそうです。

ドル円上値108円、下値103円のレンジという感じでしょうか。

 

週末出ていた中国関連の報道ですが、一部の人工知能技術の輸出を「国家経済の安全を守るため」制限すると発表しました。

今まで各国から様々な技術を吸収してきた後、技術の輸出を禁じるというやや国際的には非協力的、先進各国から不信感を招きかねない政策です。

 

今後とも、先進技術の摩擦は絶えないものと思われ地政学リスクは頭の片隅にはおいておきたいところ。

メインシナリオは米ドル安トレンドの継続、ユーロ・ドルの上昇トレンドが強まるか、9月FOMCには非常に注目してポジション取りして行きたいと思います。

 

それでは皆様今週もグッドラック!

 

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